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青少年交換委員会より 岡邉晴香さん(岡山旭川RC) 読書感想文3

2014/03/24

「平和への手紙」を読んで
(岡邉晴香)

 私は今まで学校の授業やテレビなどを通して第二次世界大戦またはアジア・太平洋戦争についての話を聞いてきました。そのほとんどが、あの戦争は日本対アメリカ(枢軸国対同盟国)であり、お互いが異なる正義を掲げて殺し合いをしたと伝えていました。確かに、沖縄では大勢の民間人までもが亡くなり、日本人は「アメリカに捕まるくらいなら死を選ぶ」と考えていたと聞いています。しかし、この本は私に二つの別の側面を見せてくれました。

 一つ目は一枚の写真が見せてくれました。
「傷ついた日本兵捕虜に水を与えるアメリカ兵」という説明がついた写真でした。
そこには、顔や胸をけがした日本人兵が迷彩柄のシートの上に寝かされ、アメリカ人から水をもらっている姿が映されています。戦争という残酷な状況でこのような手を差し伸べるアメリカ人の優しさに少し驚きましたが、それ以上に感動しました。敵同士であろうと同じ人間なのだから人を助けることに理由はいらないのだろうと感じました。戦場で撮られた写真からこの様なことを感じるのは皮肉なことかもしれませんが、戦争という極限の状態で撮られたからこそ伝えるものが大きいのかもしれません。「平和の手紙」の中には、戦後の式典で元日本兵と元アメリカ兵が手を取り合い、共に涙を流したと書いてありました。殺し合いをした相手が互いに分かりあえたのは、この写真のように「同じ人間だから」という思いを彼らが持っていたからかもしれません。

 二つ目は本の中の文から感じた側面です。
「戦争をあえておこすのは、ほかの生物ではない、わたしたち人間である。戦争をはじめるのも、殺しあいができるのも、人間が知性をなげすて、熱狂や狂気に走るからにほかならい。」という文です。
この文から、「戦争は人間の意志でやめることができる」という側面を感じました。
たしかに、動物は戦争をしません。食べ物や縄張りを争った結果敗れた方が命を落とすことはあっても、利欲のために関係ない者の命まで巻き込む争いをするのは人間だけでしょう。利欲に走ると人間はどこまでも残酷で凶暴になれるのだとこの文は言っています。しかし、逆に、知性をなげすてなければ、それを止めることができると言っているとも考えられます。テレビか何かで「あの戦争が起きたのは仕方のないことだった」と言っていたのを聞いたことがあります。でも、戦場で傷ついた敵兵に水をあげることができるのなら、そもそも戦争を起こさないこともできると思います。知性や理性があれば。当時は新聞や世論も戦争賛成派が多く、日本の国際的な孤立に拍車をかける国際連盟の脱退さえ「勇退」と讃えたと習いました。現代の私の視点からは、これは「狂気」に見えます。もう少し知性や理性を以て考えていれば、あのような戦争は防げたのではないかと思うととても残念です。

 戦争は人間が生み出した最も忌まわしい物の一つだという言葉を聞いたことがあります。
確かに、戦争を始めるのは人間です。もちろん、終わらせるのも人間です。同じ人間どうし、救いの手を差し伸べること、狂気に走らず知性を以て考えること。そうすれば、戦争を終わらせるだけにとどまらす、戦争を防ぐことさえできると思います。このようなことには国も人種も関係ありません。同じ人間として手を差し伸べあい、双方が知性を失わない努力をすることが国際親善の大きな一歩になると思います。


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