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青少年交換委員会より 岡邉晴香さん(岡山旭川RC) 読書感想文

2014/01/08

「僕は13歳 職業、兵士」(鬼丸昌也+小川真吾著)を読んで
岡邉 晴香

「少年兵」。
この言葉を聞いて私の頭に浮かぶのは、迷彩服を着て大きな銃を抱えた中学生くらいの男の子の姿でした。
ただ、これは私のイメージでしたし、詳しいことは何も知りませんでした。
私の中では、「少年兵=どこか遠い国の酷いこと」という認識でしかありませんでした。
なぜ少年兵が存在し、何が酷くて、誰が何をすれば解決するのか、何も知らない事柄でした。

私は、「僕は13歳 職業、兵士」の感想文として二つの事を書きたいと思います。

一つ目は、本を読んだ率直な感想です。
一言でいうと、驚きでした。
漠然としたイメージでしか考えたことのなかった「少年兵」という言葉の意味にこの本を読んで初めて触れることになりました。
まず驚いたのは、「少年兵」の年齢です。
7歳の時に軍に入らされた、12歳で銃を使って戦った…
このような少年が何人も紹介されていました。
日本では小学校に通っているはずの年齢の少年が、銃で人を殺しているのです。
この事実にただ、驚きました。

次に驚いたのは、少女兵の存在です。
戦争をするのは大人でも、たとえ子供だとしても男性だと思っていました。
しかし、ウガンダでは私と同じくらいの年の少女が軍に連れ去られ、戦争に参加させられ、暴力まで振るわれたといいます。
だから、この本では「少年兵」ではなく「子ども兵」という言葉がずっと使われていました。
幼い少年兵、私と年の変わらない少女兵の存在は本当に大きなショックでした。
たとえ、戦場から生還して新しく生活を立て直したとしても、子ども兵が負った精神的なショックは相当なものだと思います。
恐怖に怯えたり人を殺した罪悪感に苛まれたりするのだと思います。
小学生の年齢にそんな恐怖を経験させ、多感な年齢の少女に大きな負担を抱えさせる、そういう意味で子ども兵は酷いことなのだと感じました。と、同時に、自分は本当に何も知らなかったのだという自分の無知にも驚かされました。
日本という平和な先進国に生まれながら、イメージだけで「酷い」と言い、それ以上のことを知ろうとしなかったのは、情けないことだったと思います。

二つ目は、子ども兵問題における日本の役割です。
現在、アメリカやイギリスをはじめとする先進国は、子ども兵が存在する貧困国に多額の支援金を提供していますが、その一方で、軍需、特に子供でも扱える小型武器を大量に輸出しています。
その輸出額は支援金額を大きく上回っているのです。
このことから、先進国は一見、貧困国に支援をしているように見えますが、実際は貧困の原因となる戦争の道具を売ることで貧困国からお金を吸い上げているということがわかります。
この大きな矛盾にも関わらず、私は先進国の支援者としての面しか知りませんでした。
おそらく、多くの人がそうだと思います。
支援も大切ですが、それよりも大切なのは貧困国の貧困の原因を断ち切ることです。
そんな矛盾を抱えた先進国の中で、日本にできることは何か考えてみました。
日本は日本国憲法で平和主義を掲げています。
また、軍事目的で武器を世界に輸出しない武器輸出三原則を唱えています。
先進国では非常に稀な国だそうです。
この日本が子ども兵問題にできること、それは、まずは知ること、そして、それを発信することだと思います。
感想で述べたとおり、私は子ども兵問題についてイメージしか持っておらず、詳しいことは何も知りませんでした。
これは私だけでなく多くの日本人も同様だと思います。
子ども兵問題の現状を知れば、誰もが「このままではいけない」と思うはずです。
私が読んだように本を読んだり、インターネットで調べたり、平和な先進国ではその手段はいくらでもあります。
知って、感じた思いを発信すれば、共鳴する人は国内でも海外でもたくさんいるはずです。
政治家に手紙を書くのも一つの手段です。

しかし、そこまでしなくてもインターネット上に思いを載せる、身近な人に話してみるといった簡単なことでも、子ども兵の現状とその思いは広がっていきます。
貧困国に武器を大量に輸出している国がそんなことを言っても説得力はありません。
武器輸出三原則を唱え、それを実践している日本だからこそ、世界に向けて子ども兵の悲惨さを伝えることができるのだと思います。
「僕は13歳 職業、兵士」を読んで私は何よりも子ども兵の悲惨な現状に驚き、そして日本にはこの問題を解決する力があるはずだと思いました。
私と年が変わらない、もしくは、私よりもずっと年下の子供たちが人殺しをさせられている。
日本では考えられないような事が、世界中で起こっています。
平和な先進国に住む者として、世界の子どもたちに協力できることが一人一人にあるはずです。
目を背けず、まずは知り、そして、日本から子ども兵問題を解決しようという思いの輪を広げていくこと。
それが、日本人としての役割だと思います。


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